前回の話

「なにイッてんの? こんなのでイッちゃうなんて、どうしようもないね」
 美桜は、さすがに呆れたような顔になっている。僕も、こんなタイミングで射精してしまったことに、恥ずかしい気持ちでいっぱいだ。美桜は、外しかけていた指輪を見ながら笑っている。
「外して欲しいんだね。わかったよ」
 そう言って、美桜は完全に指輪を外してしまった。いつもしている指輪がないだけで、強い違和感を感じる。同時に、どうしようもないくらいの寂しさを感じてしまう。


「はい、なくさないでよ」
 美桜は、そう言って指輪を手渡してくる。僕は、小さなペニスをそそり立たせたまま、それを受け取った。あまりにも間抜けな姿だ。射精した直後なのに、柔らかくなる気配もない。美桜の中に射精することが出来ずに、空打ちをしてしまった。
 美桜は、これから新藤さんと濃厚な中出しセックスをするはずだ。本当に、チャンスを逃してしまったのかもしれない。僕と美桜の赤ちゃん……そんな当たり前のことが、出来なくなってしまうかもしれない。

「じゃあ、行ってくるね。いつ帰ってくるかわからないけど」
 美桜は、目を細くしながら言う。からかっているというか、小馬鹿にしているというか、なんとも言えない表情だ。でも、その言葉にすら興奮する僕は、完全にイカれているのだと思う。
「あらら、また出ちゃうの? こんなので出ちゃうなんて、本当にどうしようもないドヘンタイの寝取られマゾだね。どうする? 出させて欲しい?」
 美桜は、すっかりと出かける準備を終えているのに、そんな風に聞いてくれる。いびつながらも、愛を感じる。そう思って、出させて欲しいと伝えた。すると、美桜は足でペニスを踏みつけてきた。かなり強く、ギュッと踏んでくる。
「ほら、出して良いよ。出せ。射精しろ。ドヘンタイ」
 美桜は、命令口調で言ってくる。こんな風に言われているのに、僕は何一つ言い返すことが出来ない。それどころか、必死で射精しようと両脚に力を入れている。
「フフ、カチカチ。固さだけなら、裕也さん以上かも」
 変な形であっても、褒められているようで嬉しいと思ってしまう。すると、睾丸を踏まれた。痛みにうめいていると、
「なに笑ってるの? 褒めてないよ。ドヘンタイ」
 と、冷たい目で言われてしまった……。思わず謝ると、
「小っちゃいし早いし、固さくらいしか良いところないもんね。ほら、イキなよ。私が裕也さんに孕まされるの想像しながら、床にぶちまけなよ」
 と、さらにサディスティックに言ってくる。正直、美桜のキャラが変わってしまったような怖さを感じてしまう。でも、この状況でも興奮しているし、射精しようと必死になってしまっている。

「フフ、そんなに力入れて、必死だね。射精したいんだ。ほら、出して良いよ。早く出して。裕也さんが待ってるから、早くイケっ! このドヘンタイ!」
 美桜は、厳しい言葉を続ける。僕は、美桜と新藤さんの子作りセックスを想像しながら、あっけなく射精してしまった……。美桜にグイグイと踏みつけられながら、床にぶちまけている。あまりにも惨めな姿だが、快感が強すぎて声が抑えられない。
「フフ、小っちゃいのにザーメンはいっぱい出すんだね。じゃあ、綺麗に拭いといて。ちゃんとワックスも塗っておいてね。早く拭かないと、床が妊娠しちゃうよ。私のことは妊娠させれないのに、床を妊娠させたら笑えるね」
 美桜は、小馬鹿にしたように言う。でも、この状況で言うことではないと思うが、美桜の愛情を感じる。いびつすぎるが、僕のことを愛してくれていると思う。

 美桜は、本当に良い笑顔で家を出ていった。僕は、すぐに床の精液を拭き取った。素直にワックスも塗った。惨めだとは思うが、美桜に言われたとおりにすることで、喜びを感じる。
 そして、美桜のいない生活が始まってしまった。美桜は、本当に帰ってこなかった。少なくても、深夜くらいには戻ってくると思っていた。でも、次の日も、週末にも戻ってこない。
 それなのに、僕は連絡すらしない。電話どころか、メッセージすら入れることなく、美桜の帰宅を待った。今頃何をしているのだろう? そんな想像をしながら、美桜の動画を見てオナニーをしてしまう日々だ。
 大沢さんとの動画や、高木と新藤さんの動画……。どれを見ても、強すぎる興奮を感じてしまう。でも、今頃美桜は、もっと凄いことをしているのではないか? そんな想像ばかりが膨らむ。

 美桜は、大沢さんに調教のようなことをされて、淫乱な女性になった。でも、大沢さんと別れてからは、そんなことはなくなっていたはずだ。僕さえ変な性癖を持っていなかったら、こんな事にはならなかったはずだ。全て僕が招いたことだ……。
 後悔と不安と興奮を感じながら、日々が過ぎる。1週間は、あっという間だった。そのまま2週間が経ち、1ヶ月が経過した。美桜は、会社に入っているのだろうか? 僕に連絡がないと言うことは、ちゃんと言っているのだと思う。
 僕は、さすがに気になってしまい、夕方に美桜の会社に行った。美桜の会社は、駅の近くの複合ビルだ。出入り口はいくつかあるが、エレベーターは一カ所なのでそこが見えるところで美桜のことを待った。
 30分ほどすると、美桜がエレベーターから降りてきた。僕は、とっさに隠れてしまった。どうして隠れたのか自分でも不思議に思うが、美桜のことを覗き見るように観察した。1ヶ月も会っていないので、姿を見ただけで泣きそうな気持ちになった。でも、あまりに印象が変わっていることに気がつき、強い焦燥感を感じる。

 黒くて艶やかだった長い髪が、バッサリと短くなっている上に、暗いピンク色になっている。会社的に大丈夫なんだろうか? 美桜は、不動産賃貸の営業をしている。業種的に、ある程度自由なんだろうか? そして、短いスカートも気になった。
 ビジネススーツなのに、かなり短いスカートだ。タイトスカートなので、腰のラインがハッキリクッキリとわかる。そして、ブラウスも、かなり胸元がルーズだ。谷間が見えるような見えないような、ギリギリのラインを攻めている。
 際立って美しい顔立ち、清楚な女性というイメージだった。それがいまは、ビッチとまでは行かないが、セックスが好きそうな見た目になっている。
 僕は、脚が震えてしまっている。おそらく、新藤さんの好みなのだと思う。すっかりと、彼の好みに染められているのだと思う……。でも、元気そうでホッとする気持ちがある。美桜は、スマホで誰かと話し始めた。ふと左手の薬指が気になってしまった。そこには、指輪がある……。
 美桜と僕の結婚指輪は、僕が大切に保管している。あれは、新藤さんとの指輪なのだろうか? 美桜は、そこまで彼に夢中になっているのだろうか?
 美桜は、笑顔で話を続けている。本当に楽しそうで、どことなく媚びた雰囲気も出ている。たぶん、新藤さんと会話をしているんだろうなと想像がついてしまう。そして、駅の方に歩き始めた美桜を、少し離れた位置から追跡した。

 美桜は、すれ違う男性にもの凄く見られている。中には、すれ違ったあとに振り返り、しばらく眺めている男性もいる。顔の美しさだけではなく、その微エロなスーツ姿に気を惹かれてしまうのだと思う。
 自分の妻が、性欲の対象としてみられている……それが、どうしてこんなに興奮に繋がるのかわからない。美桜は、どう思っているのだろう? たぶん、エロい目で見られているのは自覚があると思う。そんな目で見られるのは、不快なんだろうか? それとも、興奮する?

 美桜のお尻を見つめながら、後をつける。スーツのお尻は、たまらなくエロく見える。薄いストッキングを穿いた脚も、性欲を直撃するようなセクシーさだ。

 そのまま歩き続ける美桜。駅前で、新藤さんに合流した。彼の姿を見た途端、本当に良い笑顔を見せる美桜。媚びたような、発情したような表情だ。他の男と、本当に恋愛をしている……あらためて異常なことをさせてしまったと思うが、勃起しすぎて射精感すら感じてしまっている。
 美桜は、嬉しそうに彼の手を握る。新藤も、良い笑顔をしている。やっぱり、とても整った顔をしている。どこから見てもイケメンと言われるタイプの顔立ちだ。ただ、目が少し怖い気がする。切れ長の一重まぶたは、見るからにサディストという雰囲気だ。
 そして、新藤は今日もアロハシャツだ。オシャレなビンテージ風のもので、それほど派手ではない。それでもやっぱり、まともな社会人という雰囲気はない。何をしている人なんだろう? 年齢は、年下にも年上にも見える。年齢不詳な雰囲気だ。

 一ヶ月の間、僕のことをすっかりと忘れて新藤とこんな日々を送っていたのだろうか? 嫉妬よりも、絶望感を感じてしまう。もう、何をするにも手遅れなのかもしれない。そして二人は、ラブホテルに入っていった。かなり大型のホテルで、比較的新しい建物だ。
 わかっていたこととは言え、悲しい気持ちになってしまう。僕は、道路を隔てて反対側にあるカフェに入った。最近増えてきた、無人カフェだ。お客さんは半分くらい入っている。意外に人気があるようだ。パソコンをいじってるスーツの男性や、タブレットで動画を見ている若者、色々なお客さんがいる。そんな中、僕はコーヒーを飲みながらホテルを眺めていた。あの中で、どんなことをしているのだろう? 想像しただけで、射精してしまいそうな感覚になる。
 ぼんやりとホテルを眺めていると、人影が見えた。裸の女性が、窓のところで後ろから責められている。こんなアダルトビデオみたいな事をしている人がいるんだ……と思って目をこらすと、それは美桜だった。
 この距離なので、表情までなんとなく見えてしまう。はずか良そうな顔で、なんとか逃れようとしているような動きをしている。でも、新藤さんが激しく腰を使って責め続けているようで、次第に抵抗がなくなっていく。
 部屋はかなり上の方なので、こんな風にホテルを眺めていないと気がつかないかもしれない。でも、見上げれば、窓際で露出プレイをしている美桜が見られてしまう……。

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