前回の話

『ダメ、声出ちゃう。直人、キスして』
由紀恵は、必死で声を我慢しているような感じで言う。
「どうして? 我慢しなくても良いじゃん」
腰を振りながら、直人がそんなことを言う。
『ダメだよ、起きちゃう。声聞こえたら起きちゃうよ』
嫁は、必死の顔で言う。
「起きたらダメなの? 説明したら良いじゃん。俺のことも愛してるって」
直人は、意地悪な顔で言いながら腰を動かし続ける。


『うぅあぁ、そんなの、うぅ、ダメ、ひぃうぅ、お願い、キス……ううあっ』
嫁は、泣きそうな顔で言う。でも、直人はキスをする事なく腰を動かし続ける。でも、強く動かしているわけではないので、嫁も声がなんとか押さえられている感じだ。

確かに、この時僕は耳を澄ましていた。何か聞こえないかと超集中していた。でも、声らしきモノは聞こえていなかった。こんな風に、必死でこらえていたんだなとわかった。

「愛してるなら、堂々と声出せば良い」
直人は、さらに意地悪を言う。すると、こらえきれなくなった嫁が、自分から彼にキスをし始めた。彼の身体に抱きつき、夢中で舌を絡ませる嫁……。どう見ても、感情もこもっているキスだ。

直人は、キスが始まった途端、腰の動きをとめる。とことんイジワルするつもりのようだ。でも、嫁の方が腰を動かし始めた。正常位で下側になっているのに、腰を大きく動かす嫁……。卑猥な姿だ。あの上品な由紀恵が、こんなに淫乱になってしまうなんて、この目で見ても信じられない。

下からくねらすように腰を動かし続ける嫁。すると、イジワルな顔をしていた彼も、夢中で舌を絡ませ始めた。こんな風に、キスをしながらするセックス……。恋人同士や、夫婦がするセックスだと思う。

「動き、ヤバいね。搾り取られちゃいそうだよ」
直人が、あきれたように言う。
『搾り取ってるんだよ。ねぇ、もう一回中に出してもらっても良い?』
嫁は、興奮した声で言う。
「そんなに気持ち良かった? 中に出されると、どんな感じなの?」
直人は、そんな質問をする。
『……愛されてるって感じかな? なんか、満たされていく感じがするよ』
嫁は、幸せそうに言う。僕は、殴られたような強いショックを受けてしまった。
「そうなんだ。俺も、出す瞬間、愛してるって思ったよ」
直人は、そんな風に言う。
『出す瞬間だけ?』
嫁は、少し不満そうだ。
「そう、出す瞬間だけ」
直人は、ニヤリとしながら言う。
『もう! イジワル』
嫁は、少しすねたように言う。まるっきり、直人に惚れてしまっている感じだ。

すると、直人が嫁にキスをした。舌が絡み合い、濃厚なキスになる。
「ウソだよ。今も愛してるって気持ちだよ」
直人は、少し照れくさそうに言う。
『へへ……。私もだよ』
嫁も、照れくさそうに言う。僕は、由紀恵がこんなに恋愛体質だとは知らなかった。セックスをしているうちに、本当に好きになってしまうことはあると思う。でも、嫁と直人が最後までしてしまったのは今日が初めてだ。いくらなんでも、好きになるには早すぎると思う。

「俺さ、前から由紀恵ちゃんのこと気になってたんだよね。て言うか、スゲぇ良いなって思ってた」
直人は、ゆっくりと腰を動かしながら言う。
『私もだよ。すごく気になってた。直人が遊びに来ると、嬉しかったもん』
嫁は、そんなことを言う。僕は、どうして気が付かなかったのだろう? どうして、なにも考えずに直人を家に誘ったりしていたのだろう? と、今さら後悔をしてしまった。

「じゃあ、これからもこんな感じでしようよ」
直人が言う。
『う~ん。家だと落ち着かないよ。直人の家でしたいな』
嫁は、そんな提案をする。
「マジで? 良いよ、俺の家だったら、声も抑えなくて良いし」
直人は、嬉しそうに言う。
『フフ。楽しみ。でも、声我慢してするのも、ゾクゾクしちゃうけどね』
嫁は、イタズラっぽく言う。
「じゃあ、頑張って我慢して」
直人はそう言うと、腰の動きを早くした。力強く、長いストロークで嫁を責める彼。嫁はのけ反り、歯を食いしばる用意して声を我慢する。
直人は、夢中で腰を振る。嫁は、こらえきれない感じで、
『んっ、あっ、んっ、うぅっ! ダメぇ、声、うぅっ、出ちゃうぅ、イヤァ、あっ、あんっ』
と、声を漏らす。でも、必死で声を押さえ込もうとしているせいか、ボリュームは小さい。僕に気が付かれないために、必死だったんだなと思った。

そのまま、腰を振り続ける直人。
『もうダメ、イクっ、イクっ、イッて、直人も中に出してっ』
嫁は、泣きそうな声で言う。そして、さすがに声を抑えきれなくなったのか、直人にキスを始めた。そのままセックスを続ける二人。少しすると、直人が身体を震わせて嫁の中に射精を始めた。

『直人、愛してる。直人の、いっぱい出てるね……幸せな気持ちだよ』
嫁は、そんなことを言う。直人も、
「俺もだよ。愛してる。今度、ウチに来てよ」
と、幸せそうに言う。
『うん。じゃあ、明日行くね』
嫁は、幸せそうに言う。
「マジで? じゃあ、昼から時間作るわ。楽しみだよ」
そんな会話をする二人。そして、直人は帰って行った。

僕は、動画をとめてどうしようかと迷っていた。嫁を、とめるべきだと思う。こんなことを、許して良いわけがない。でも、僕は2度も射精をしているのに、信じられないほど強く勃起している。

直人の家で、どんなセックスをするのだろう? 僕は、そればかりを考えてしまった。見てみたい。でも、直人の家にカメラなんて仕掛けられない。嫁にカメラを持たせることも、出来るはずがない……。

色々と悩んでいると、ふと思い出した。直人は、家のカギをパイプスペースの目立たないところに、マグネットボックスに入れて保管していることを……。
カギをよくなくす彼が、なくしたときのためにそうしていると聞いた記憶がある。僕は、決心した。

朝起きると、嫁はいつも通りに、
『おはよう~。コーヒー飲む?』
と、明るい笑顔で言ってきた。本当にいつも通りで、怪しい気配もない。僕は、逆に怖くなってしまった。昨晩、直人とセックスをした。そして、今日はアイツの家でセックスをする予定のはずだ。それなのに、いつも通りの感じでいる嫁……。女性の浮気は、見抜けないと言われる意味がわかった気がする。僕は、ぎこちなくならないように気をつけながら朝食を食べ始めた。
『美味しい?』
嫁は、幸せそうな笑みを浮かべている。愛されているなと、実感出来るような笑顔だ。でも、この後嫁は、他の男とセックスをしに行く……。そう思うと、嫉妬で息が苦しくなる。それなのに、自分でも驚くほど勃起してしまっている……。

そして、家を出ると、すぐに会社に連絡を入れた。客先に寄ってから行きますと。普段、営業成績も良い方なので、まったく問題にはならなかった。

僕は、すぐに電車に乗ると、いつもの電気街に向かった。そして、色々とカメラを品定めし、電源タップ型の隠しカメラを購入した。そのまますぐに直人の家を目指す。オートロックないマンションなので、そのまま彼の住む3階を目指す。

電気はついていなくて、電気のメーターも回っていない。念のためインターホンを鳴らしたが、応答はない。僕は、周りを気にしながらパイプスペースの鉄扉を開けた。そして、中を探り始める。すると、ガスのメーターの裏側に、マグネットボックスが貼り付けてあった。
取り出して中を確認すると、カギが一つ入っていた。僕は、すぐに彼の部屋のドアを開けた。中に入ると、かなり広めのワンルームだ。ソファにベッド、大きなテレビにゲームがいくつか。この広さだと、ワンルームと言うよりは、スタジオルームと呼ぶのかもしれない。
僕は、好都合だと思った。カメラを設置するのに、ちょうど良いと思った。

ソファとベッドが映る場所……。テレビの所の電源タップを持ってきたものに交換した。そして、速やかに部屋を出ると、カギも元に戻した。

足早にマンションを出ると、とんでもないことをしてしまったなと感じた。でも、由紀恵を寝取った直人の方が悪いと自分に言い聞かせながら会社に戻った。

今頃、何をしているのだろう? 本当に、由紀恵は直人の家に行ったのだろうか? セックスをしているのだろうか? そんな想像で、胸が苦しくなる。そんな状態でもなんとか仕事を続け、夕方になると家に電話をした。
『あっ、お疲れ様。ご飯、作り始めるね。剛の好きな、アラビアータだよ~』
嫁は、上機嫌だ。僕は、とりあえず家にいたことにホッとしながらも、いったん直人の家を目指した。マンションに到着すると、部屋の明かりはない。そっとドアの前に移動すると、在宅している気配はない。

僕は、午前中と同じように、隠してあるカギで部屋に入り、電源タップを回収した。今までの人生で、一番ドキドキした瞬間かもしれない。この中に、由紀恵の浮気動画が……。そう思うと、居ても立ってもいられない気持ちになる。

僕は、はやる気持ちを抑えながら帰宅した。
『お帰りなさ~い! お疲れ様!』
そう言って、キスしてくる由紀恵。かなり上機嫌でハイテンションだ。僕は、なんとなくわかってしまった。由紀恵は、セックスをしてきたんだなと。嫁は笑顔だけど、何というか、上気したような、興奮したような、情事の後という雰囲気が漂っている。

それでも僕は、いつも通りに接し、夕ご飯を食べて楽しく時間を過ごした。もちろん、内心は泣きそうな気持ちと嫉妬で大変だった。

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